実例・ノウハウ|研究施設公開

大阪大学産業科学研究所 研究施設公開 <概要>

材料、情報、生態の3領域の研究とナノテクノロジー・ナノサイエンス分野の研究を推進する総合理工学型研究所 “産研” が、「地域貢献」や「科学のすそ野拡大」のため、研究所をあげて取り組む。

(1)いちょう祭 産業科学研究所 一般公開

時期: 5月1日の大学創立記念日ごろ
対象・定員: 一般の方(毎年600名程度が来場)
内容
(2016年度):
研究施設および研究室公開・体験教室 13プログラム
見学ツアーやサイエンスコミュニケータ
大学院生によるサイエンスカフェ
スタッフ: 研究者、技術職員、事務職員、大学院生
コスト: パンフレット制作費、講演費、材料費
参加費: 無料


(2)ものづくり教室 ※年により内容が変更する場合があります。

実施時期・時間帯: 夏休み期間中の3日間、10時~16時(各1日コース)
対象・定員: 小学4年生~小学6年生(1日20名程度)
開放する施設: 産業科学研究所技術室
内容
(2016年度):
ライントレーサを作ろう
スタッフ: 技術室スタッフ(技術職員)
コスト: 材料費、チラシ制作費
参加費: 無料(傷害保険料100円)

大阪大学産業科学研究所 研究施設公開 <事例>

いちょう祭 産業科学研究所 一般公開2016(パンフレットPDF)
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/pdf/event/pamphlet_icho2016.pdf
ものづくり教室2016
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/tew/main/keiji2016/

中期計画への位置付けや部局の仕事として評価対象にすることにより、部局としてバックアップ。所内の異分野の教職員が連携するきっかけにもなり、横のつながりができることでプロジェクトが円滑に進む効果も。

部局をあげてアウトリーチ活動が盛んなイメージが強い産業科学研究所。その背景には、教職員一人ひとりの意識の高さに加えて、こうした活動に対する所長の理解や、中期計画への位置付け、広報室の存在(2005年発足)の他、部局の仕事として広報・アウトリーチ活動に割いた時間も評価対象にするしくみなど、この種の活動に取り組む教職員に対する部局としての強いバックアップがあります。

また、産業科学研究所は、対象とする研究分野が「情報・量子科学」「材料・ビーム科学」「生体・分子科学」「ナノテクノロジー」という多分野に渡り、研究プロジェクトを推進するためには分野間の連携が不可欠です。いちょう祭のように研究所をあげての取り組みは、学外に対するアウトリーチの効果だけでなく、所内の連携・交流促進、ひいては研究活動の活性化という部局の発展につながるメリットも大きく、それが構成員の動機づけの一つになっています。

いちょう祭では、「地域貢献」を意識し、子どもから大人まで楽しんでもらえるよう見学・体験内容にいくつかのレベルを設定。見学ツアーの一部は、新たに産研所属となった学生・教職員のオリエンテーションも兼ねて実施する。

毎年地元の家族連れや高校生などが来場するいちょう祭では、各分野の研究施設・研究室の公開や体験教室、大学院生やサイエンスコミュニケータによるサイエンスカフェといった計 15 程度のプログラムを準備。小中学生から大人まで楽しんでもらえるよう簡単な体験から最先端の研究説明があり、また、広い研究所の特徴を生かし見学ツアーやスタンプラリーを開催しています。来場者数は毎年増加し、2010 年の 300 名程度から 2016 年では 660 名以上となりました。また、学生を含め新たに産研所属となった構成員のオリエンテーションを兼ね、いくつかの公開スポットをめぐる見学ツアーを実施。研究所にとってもメリットのある方法を採用しています。

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(取材:大阪大学21世紀懐徳堂)

子どもたちの自主性、創造性、探究心を育むことがものづくり教室の肝。科学への関心が高まるような夢のある題材設定もスタッフ側の腕の見せどころだ。

産業科学研究所技術室では、未来を担う子どもたちに「自分の手でつくりあげる」楽しさ、喜びを知ってもらうため、ものづくり教室を 2006 年から毎年1回開催しています。毎年、募集人数を上回る応募がある人気講座です。11 年目の 2016 年は 8 月に小学4~ 6 年生を対象に開講し、約 60 名が参加しました。「ライントレーサーを作ろう!」をテーマに、線(ライン)に沿って(トレース)走る、近い将来、現実となるであろう自動運転車のようなミニカーをひとり一台仕上げます。車線を見分ける電子回路、タイヤを回す部分、車のフレームを実際に作ってもらい、もちろん、できあがった作品は持ち帰り可です。終了後は「楽しかった」「また参加したい」という感想が寄せられ、なかには「家で改良して、もっと早く走れる車にする」という子も。ものづくり体験があらたな興味・関心を引き出したこのような瞬間に立ち会い、毎回スタッフは大きな手ごたえを感じています。ものづくりのプロセスでは、子どもたちの創造性・自主性を尊重し、スタッフはサポート役に徹するという方針の下、科学に興味を持つ子どもを増やすことで “すそ野”を広げたいという意識で臨んでいます。

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(大阪大学環境報告書 2016 より)

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