SQALF [原子力]Q&A
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このページではSQALFに寄せられた質問のうち、 「原子力」 関連について、回答と併せて紹介します。 |
Q
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今回の原発事故について、精神面と科学面との両面から分析する必要があると考えます。
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Q |
海水投入時期を誤らなかったら大災害に至らなかった…
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A
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(工学研究科 教授 片岡 勲) 国の事故調査委員会の調査も完了しておらず、まだ一部の情報しか得られていませんので現時点では明確な回答をすることは難しいと思います。 ただ今回大災害になった最大の原因は1号機と3号機の水素爆発です。 この水素は、冷却が不完全になって燃料の表面の温度が1000℃程度になると出てきます。海水投入時期が異なっていれば大災害に至らなかったのではという議論があるのはこのことに関してです。 外部電源がまったくなくなり、緊急のディーゼル発電機も動かない状態が長時間つづく場合には、早い段階で、原子炉の圧力を下げ(早期減圧)、大気圧に近い状態にし注水し続けて燃料棒の上端まで水につかるようにすれは、燃料は高温にならず損傷しない可能性があります。したがって水素も出てきません。 ただ、これも仮定の話で、実証されているわけではありません。 福島原子力発電所では早期に淡水がなくなってしまったようです(理由はわかりません)。 海水を注入しようとしたのですが、原子炉に海水を注入することは、通常では考えられないことです。これは、配管の腐食や、電気系統への影響(ショートしやすくなる)、塩分が弁などの部品に析出して、動作しなくなったりするからです。
したがって現場の方は淡水ならともかく海水の注入はかなり躊躇したと思います。
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Q |
日本の今の技術では、原発を完全にコントロールすることは不可能なのでしょうか (60代男性) |
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A
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(工学研究科 教授 片岡 勲) これも難しいご質問で明確なお答えにはなっていないかも知れませんが、「狭い意味で技術(安全規制や管理体制などを含めない意味での技術)」という言葉を考えれば日本の今の技術でも、原発を完全にコントロールすることは可能です。 では、なぜ、福島では、原子炉のコントロールが完全に失われあのような大惨事になったのかという疑問が生じます。これは、国の安全規制が不完全であったことと、企業側の安全管理の不備であると思います。 すでに報道されているとおり、現在の日本の原子炉の安全審査では、長時間交流電源がまったくなくなることを想定していません。 したがって、そのようなことが起こった場合の対策も手順書もまったくありませんでしたし、東京電力もそのようなことを想定した管理体制をとっていませんでした。 もし、長時間交流電源がまったくなくなることを想定した安全対策が取られていれば、 (これば狭い意味での現在の技術で十分に可能です)現場の運転員も、対処できたはずですし、冷却も行われ水素爆発も起きないようにすることはできたと思います。 しかしながら、原子炉という潜在的に非常に大きな危険性を有する設備を、設計し、管理するうえで長時間が交流電源がまったくなくなることを想定していなかったこと、そのような場合にどのようなことが起こるかを十分に予測できなかったことは「広い意味での技術(安全規制や管理体制などを含めた意味での技術)」が不完全であったと言わざるを得ないと思います。 |