6/28「アジールとしての「日本」:ネイティヴ人類学の新しい可能性」 井上雅道先生(ケンタッキー大学)
- その他
アメリカ研究会 特別招聘講演会(一般公開。夕食研究会以外予約不要)を開催します。
| カテゴリ | その他 |
|---|---|
| 日時 |
2013年6月28日(金)
13時00分から14時30分まで
|
| 会場 | 大阪大学箕面キャンパスE棟3階学術交流室 |
| 主催 | 杉田米行研究室 |
| 問い合わせ先 |
大阪大学大学院言語文化研究科杉田米行 http://sugita.us/inoue2.html |
日時:2013年6月28日(金)13:00~14:30
場所:大阪大学箕面キャンパスE棟3階学術交流室
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/accessmap.html#map03 (アクセスマップ)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/minoh.html (キャンパスマップ)(#7の建物の3階)
講師:井上雅道先生(ケンタッキー大学日本研究プログラムディレクター)
討論者:中川敏先生(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
講演題目:「アジールとしての「日本」:ネイティヴ人類学の新しい可能性」
要約:本稿は、アメリカの大学で日本語や日本文化を学ぶ・教える多様な人々(マルチチュード)の生活史・行動・意識を分析する。そうすることで、欧米中心の「知の世界システム」を批判するネイティヴ人類学と問題意識を共有しながらも、ネイティヴ人類学を立ち上げる際に見えなくなってしまうもの――とりわけ、グローバル化がもたらす「日本」の流動化――に光を当て、ネイティヴ人類学が主張するネーションを単位とする普遍とは異なる普遍を提示したい。この目標に向け、「大学」をグローバルな資本によって急速に包摂される「帝国」のフロンティアとして位置づけると同時に、このフロンティアの中で・に対して、「日本」がその地理-歴史的文脈を越えて溢れ出し、帝国の統治権が及ばないグローバルな「アジール」(避難所)として構築されていることを明らかにする。そしてこのアジールにおいて、1)家族類似性の概念を通して把握できるような異種混交に基づく普遍的な文化生成が行われていること、2)身体という「共通言語」が、英語(テキスト)中心の知の世界システムのノルムに対抗しつつ「セカイ系」のモラル(普遍性・共同性)と多様な解釈の枠組み(多様性・個別性)を媒介していること、3)「オリエンタリズム」という知の枠組みだけではもはや捉えきれない多様さと深みを持った主体性が構築されていること、を示す。最後に、アジールを多義的な脱-権力の空間=想像界として概念化し、このアジールが、権力空間を構成してきた近代の諸制度=象徴界――知の世界システムを含む――を無効化しつつある可能性を踏まえながら、ネイティヴ人類学の新しい可能性を考えたい。
【講演者紹介】
1987年3月東北大学、学士課程卒業(専攻:宗教学・宗教史)
1991年5月ペンシルバニア大学、修士課程卒業(専攻:心理的援助学)
1999年12月デューク大学、博士課程卒業(専攻:文化人類学)
現在、ケンタッキー大学日本研究プログラムディレクター・准教授
主要著作
2013 「生-権力の臨界:アメリカの大学警察を人類学する」『文化人類学』77(4)
2012 “Reclaiming the Universal: Intercultural Subjectivity in the Life and Work of Endo Shusaku.” Southeast Review of Asian Studies (SERAS) 34: 153-170.
2011 “Cocco’s musical intervention into the US base problems: traversing a realm of everyday cultural sensibilities in Okinawa.” Inter-Asia Cultural Studies 12:3, 321-340.
2007 Okinawa and the U.S. Military: Identity Making in the Age of Globalization. New York: Columbia University Press.
2004 “‘We are Okinawans but of a Different Kind’: New/Old Social Movements and the U.S. Military in Okinawa.” Current Anthropology 45 (1): 85-104.
2004 「当事者の共同体、権力、市民の公共空間:流用論の新しい階梯 と基地問題」 『民族学研究』 68 (4): 534-554.
2002 「グローバル化の中の沖縄イニシアティブ論争:記憶、アイデン ティティ、基地問題」『思想』933: 246-267.
1998 「海上ヘリ基地問題と日本人類学:沖縄県名護市辺野古でのフィールドワークの覚書」『現代思想』 26 (7): 228-244.
他多数。
【討論者紹介】
1984年3月東京大学 社会学研究科 文化人類学専門課程第1種 単位取得満期退学
1999年6月より大阪大学教授(現在に至る)
ご専門:東インドネシアの人類学的比較研究、理論人類学の構築、文化人類学・民俗学
主要著作
『言語ゲームが世界を創る―人類学と科学― (世界思想ゼミナール)』(世界思想社、2009年)
『モノ語りとしてのナショナリズム―理論人類学的探求 (認識と文化)』(金子書房、1996年)
『異文化の語り方―あるいは猫好きのための人類学入門』(世界思想社、1992年)
『交換の民族誌―あるいは犬好きのための人類学入門』(世界思想社、1992年)
他多数。
尚、17:00~18:30に井上先生を囲んで夕食研究会を行う予定です。(こちらは事前お申込みお願い申し上げます)
連絡先:杉田米行