大阪大学中之島サイエンスカフェ「もっと見たい!情報科学と生命科学からのアプローチ」
- 科学・技術

人体の内部などを計測や演算といった特殊な技術で画像化しようとしている向川さんと、病原細菌による感染症の治療で細菌が「抗菌性」を持つメカニズムの解明を目指す西野さんは、共に大阪大学産業科学研究所に所属する研究者です。お二人をゲストに迎え、「見る」ことの追究を通して新しいサイエンスの扉を開こうとする研究の最前線について語り合います。サイエンスに興味のある方、仕事に新しい刺激を必要としている方、これから何を学べばよいのか探しているすべての方に向けた企画です。ぜひご参加ください。
カテゴリ | 科学・技術 |
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日時 |
2013年3月21日(木)
18時30分から20時30分まで
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会場 | 大阪大学中之島センター(大阪市北区中之島4-3-53) |
主催 | 大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 |
後援等 | 協力:大阪大学21世紀懐徳堂 |
問い合わせ先 |
大阪大学研究推進部 大型教育研究プロジェクト支援事務室 http://www.lserp.osaka-u.ac.jp/info/20130220.html |
向川 康博
さんの話「計算機の演算で見えないものを見る。
」
我々の身の回りには見えないものがたくさんあります。例えば、見たいものが何かに隠されていたり、濁った液体中に沈んでいたりなどと、その理由は様々です。そのような見えないものをきれいにカメラで撮影するために、特殊な方法で光線の情報を計測し、計算機による演算によって鮮明な画像を作り出す方法が、主に情報科学分野で盛んに研究されています。例えば、カメラのレンズの前に多数の鏡を取り付けることで障害物を消し去ってしまったり、平行な光線を出す特殊なプロジェクタを照明代わりに使うことでボケのない鮮明な画像を撮影することができます。向川さんは「最先端・次世代研究開発支援プログラム」によって、これらの撮影・演算技術を駆使して、本来ならば見ることのできない人体の内部を見てみようという研究に取り組んでいます。はたして、情報科学分野の技術が、生命科学分野の問題を解決できるのかというテーマで向川さんの話を伺います。
西野 邦彦 さんの話「薬が効かなくなる仕組みを見る。 」
細菌は、とても小さい生き物で、肉眼では見えませんが、ヒトの中やまわり、そして、足を踏み入れる事が困難な極地など、地球の上のあらゆる場所に住み着いています。細菌には、乳酸菌やビフィズス菌などヒトにとって有用な性質を保持しているものがある一方で、サルモネラや緑膿菌といった病気を引き起こすものが存在しています。病原細菌による感染症の治療でヒトは「抗菌薬」を用いますが、それに対して細菌は「薬剤耐性」で抵抗します。近年、複数の抗菌薬が効かなくなった多剤耐性菌が臨床現場や畜産現場等において出現し、世界共通の深刻な問題となっています。敵を識り己を識らば百戦危うからず、といわれますが、西野さんの研究目的は、抗菌薬を効かなくさせる病原菌について、その適応能力を明らかにすること、そのうえで我々のもつ力をどのように活用させるかを考えようとするところにあります。本サイエンスカフェでは、普段眼で見ることの出来ない細菌がどのようにして多剤耐性になるのか、そのメカニズムを解説いただくとともに、新たな治療戦略について伺います。
●ゲスト:
向川 康博(最先端・次世代研究開発支援プログラム採択者/大阪大学 産業科学研究所 准教授)
西野 邦彦(最先端・次世代研究開発支援プログラム採択者/大阪大学 産業科学研究所 准教授)
●ファシリテーター:
岩崎琢哉(大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URA・特任研究員)
●日時:2013年3月21(木) 18:30~20:30 (開場は18:00)
●会場:
大阪大学中之島センター
大阪市北区中之島4-3-53
(京阪電車中之島線「中之島駅」徒歩約5分、阪神本線「福島駅」徒歩約9分)
アクセスマップは こちら
●参加費:無料
●事前申込:不要
●チラシのダウンロードは こちら (PDF/2.76MB)
●今回のサイエンスカフェは、「最先端・次世代研究開発支援プログラム」で採択された下記研究課題のアウトリーチ活動として、実施するものです。
最先端・次世代研究開発支援プログラムとは、将来、世界の科学・技術をリードすることが期待される潜在的可能性を持った研究者に対する研究支援制度です。国の「新成長戦略(基本方針)」(2009 年12 月30日閣議決定)において掲げられた先端的研究開発を支援することにより、中長期的な国の科学・技術の発展を図り、国の持続的な成長と政策的・社会的課題の解決に貢献することが目的です。
採択者:向川 康博
研究課題: 「コンピュテーショナルフォトグラフィによる安全な人体内部3次元構造の可視化」
採択者:西野 邦彦
研究課題: 「薬剤排出ポンプによる細菌多剤耐性化・病原性発現制御機構の解明と新規治療法開発」